★鳥居は神社だけのものではない!?

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※伊勢神宮にて

私は伊勢神宮や宮島厳島神社など、各地の神社を訪れ、その見事な大鳥居などを見るにつれ、その歴史を知りたい思いが強くなった時があったものです。

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※厳島神社の大鳥居

誰しも知っている神社の『鳥居』日本神道特有の建造物のように思われていたりもしますが、鳥居の元は『仏塔をめぐる垣根に開かれた門であった』と聞くと驚かれる方も多いのではないでしょうか?
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明治以前などは、お寺の住職と神社の神主を兼任する事も珍しい事ではなく、そうした神仏習合の名残を現すかの様に、現在でも各地にあるお寺の中には神社や鳥居があったりもするのですが、お寺の中に鳥居があると奇異に思われる方も多い様です。

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※御嶽神社にて

しかし、実は鳥居は日本神道特有のものではない様で、アジアのあちこちに類似のものがあり、日本へ伝えられた鳥居の原形も、神殿の門として使われる一方で、仏塔の山門という形に発展して行った歴史もそこにはある様で…

これもあまり知られていない事ですが、仏式で葬儀を行う場合、葬儀の四方に鳥居を立て、東の発心門(ほっしんもん)・南の修行門(しゅぎょうもん)・西の菩提門(ぼだいもん)・北の涅槃門(ねはんもん)とする習俗が伝えられてきていたりもします。

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※伊勢二見浦輿玉神社にて

皆さんご存知の、ワッショイ!ワッショイ!と元気な掛け声と共に担ぐ神輿の四方にも、鳥居が使われている他、密教の護摩壇の前にも鳥居が立てられていたりもします

鳥居はインドの『トラナ・塔門』を発祥とする古い歴史を持っています。
その他中国で行われる『華表・かひょう』が鳥居の原形だと言う説もある様ですが、華表も宮殿や墳墓の前に立てられるものである事から、やはり『鳥居』はインド発中国経由で日本に上陸したと見るのが妥当の様です。

日本に上陸した鳥居は、直線を主としたシンプルなデザインへと発展して行った様で…
その種類も意外に沢山あり、木製で皮付きの丸太を用いた黒木鳥居、白丸太で貫(ぬき)だけを角材とした神明鳥居、その貫を外方まで突き出した鹿島鳥居、丸太の木を五角形にした伊勢鳥居、これをさらに発展させた明神鳥居などが考え出された様です。

どうか、今度神社を訪れる時は、鳥居の形などにも少し気をとめられると良いかも知れません…。
本当にいろんな形のものに出会うことが出来ると思います。

日本で呼ばれる『鳥居』と言う名称は、鶏の止まり木に似ていることに由来があるそうです。

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※伊勢元輿玉社・太光寺

冒頭にも書きましたが、明治以前の日本の信仰の形態は神仏習合、神仏混淆であり、お寺の中に神社があっても、神社内に寺院があっても、言い換えれば、鳥居のある寺院があっても山門のある神社があっても不思議ではない時代だったのです。

明治に入り、国家神道が擁立され、廃仏棄釈など悲しい歴史もありましたが…
神仏が分離された今でも、昔のままの形態を保つ神社や寺院が、日本のあちこちにあります。

そんな社寺を訪れたりすると、受容的で優しい日本人のエッセンスに触れている様でもあり、なにかホッとする暖かさを感じたりもする愚僧であります。

合掌

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