北枕で寝ると縁起が悪いのか？

セッション時などたまにある北枕の質問。

亡くなった方を仏間などに頭を北側に向けて仰向けに安置する習慣などもある事から、北枕で寝る事は死者に連れて行かれるといった様な不吉なものとして思い込んでいる人も多い様です。

つい最近などもあるお客様よりお聞きした話しですが、仏間で子供を寝かせていたところ、お姑さんより『💢アンタね、子供を北枕で寝かせてどういうつもりだ？大事な跡継ぎが仏（この場合は亡者)に連れて行かれたらどうするんだ！💢』と酷い剣幕で怒鳴られたそうで、

この怒鳴られた女性はまだ三十代半ばのママさんですが、これまで北枕などさして気にする事もなく過ごしてきたそうで、これ以降、寝る方角に関して強迫神経症の様になってしまったそうです。

寺社仏閣が好きな事から神社にも結婚する前からよく参拝に訪れてきたそうですが、これに関しても結婚早々、お姑さんより『ウチは代々仏教なんだから、自分勝手に神社の鳥居をくぐって両目が潰れてもあたしゃ知らないからね💢』と、脅しとも蔑みともつかぬ言葉を投げつけられ💦

以降、神社巡りを兼ねて友達からのトレッキングのお誘いなどにも縛りが生じてしまい行けずにいる事が猛烈なストレスになっている事などをお話しくださったものです。
（ご主人はお姑さんとの問題には一切関与せずとの事)

このケースなど、お姑さんの方にパラノイアとも言える迷信を頑なに信念と化しているものがあるのですが、でも、この北枕、仏教徒が鳥居をくぐるとバチが当たる的な事を言われて困惑したと言う様なお話しはこれまでも何度か他の方よりもお聞きしてきている事で、地方の人里離れた旧家の出来事ならいざ知らず、いずれも都内にお住まいの方達よりお聞きした事であり、人の信ずる内面世界の多様さには驚かされるばかりですが、でも、ご家族よりお話しをよくよく聞くと、仏教だけではない土着信仰、新興宗教やカルトの教義がごちゃ混ぜに影響を及ぼしているものをお見受け出来る時があったものです。

日本は古来より八百万の神々を崇め奉る神道と、インドより大陸を経て伝来の仏教を融合させてきた神仏習合の国であり、仏教徒が神社の鳥居をくぐるのがバチ当たりとする考えなど、噴飯もので論ずるまでもありませんが、それでも北枕を不吉とする考えにはいまだ根強いものもある様です。

釈尊が横たわり入滅する時のお姿はよく知られるところですが、仏教ではこの故事に習って『頭北面西・ずほくめんさい』故人を北枕にし、右脇を下に西を向かせるのが遺体を置く場合の本式とされているものの、仰向けに寝させる事が一般化されて長い歴史がある事に於いて形骸化されたものがある様です。

またこの『頭北面西』は釈尊が入滅に際して、高弟の阿難に命じ『我が滅後に法は北方に流布するが故に』と頭北面西に床を敷かせたと『涅槃経』などでも説かれていたりします。

インドには仏教以前にも様々な信仰があった事などよく知られるところですが、釈尊の生誕以前にも北方に位置するヒマラヤの山々を神秘の霊地として崇敬信仰してきた歴史もある様で、東西南北の中で特に北を上位としてきた様です。

地球に生じている磁力は、北半球に位置する島国日本の位置関係から考えると、南から北に流れているもので、北枕はその磁力線に沿って足から頭頂に向けて磁力が流れる事によって血行促進、とても深い良質の睡眠へと誘う効果がある様で、これは私自身も試してみて身体に作用する磁力の流れと共にとても納得出来るものがありました。また、現実的に家の作りとして北側に玄関や大きな窓が構造上少ないと言う事も安眠の効果へとプラスされているものもあるのかも知れません。

頭寒足熱など健康に良いばかりでなく風水の観点からも金運アップにも良いとさえ言われる北枕、良質の睡眠を取れず悩んでいる方なども布団の向きをくるりと変えて（笑）ぜひお試しあれ！

合掌