☆ヒーリング私記…宗教とスピリチュアルの狭間に見るものとは？①

宗教が霊的な学びや悟りを得るために戒律や教義に従い、修行や強いられる部分を通して悟りと呼ばれる状態に達し様とするのに対し、スピリチュアルは個人の自発的な自由意思を通してそれを為し遂げ様とする違いがあると言う様な見方もあったりするものです。

カルト教団による悪質な霊感商法や無理な勧誘などと同一視される誤解を避けるる為か、多くのヒーリングサロンが「当サロンはいかなる宗教とも関係ありません」等とホームページなどでうたっているのも一般的な風潮でもあります。
また、宗教イコール洗脳と言うイメージを持たれている方も多い為に、誤解を招かぬ配慮と言うものもそこにはあるのかも知れません。

スピリチュアルな事にも認知度が高まり、理解が進んだ現在とは言え、未だ「ヒーリング」と聞くと、高額な物を売りつけられる霊感商法もどきと誤解されている向きもある様で、これなども、カルト教団や新興宗教の類いが、ヒーリングと言うと癒しのイメージからか聞こえも良く、多少胡散臭さも緩和されるとの判断からなのか？例えば…「誰でも参加出来るヒーリングの集い」とか、「持っているだけで開運ヒーリング効果抜群」と言う具合に、新規会員や信者などに売り付ける根も葉もないインチキな品物にさえ「ヒーリング」のワードを乱用し貼り付ける傾向などもある様で、この様な霊感商法まがいの事がヒーリングだと、頑なに誤解している方もまだ世間には多いと言ったら驚かれるでしょうか？

財産をいつの間にか侵奪される程の寄進を断る事が出来ぬ様に巧みにアメとムチを使いわけ、精神的に落とすカルト教団のやり口は狡猾なものがあり、そうした被害を経験した方の中には、「宗教」や「ヒーリング」と聞くだけで、虫酸が走る様な拒否反応が出る方もいる事は、今まで何度となく対面セッションなどでお客様よりお聞きしてきた事でもありました。
釈迦が広めた仏教も、勃興期に於いては新興宗教だったに違いなく、私はそう言う意味に於いても、新興宗教を一概に否定しません。何故なら、ある程度まで人を引き上げる教えやガードレールとしての働きを持っている場合もあるからです。

ただし…それは入り口があって出口のある風通しの良い学校の様なものであるならばの話しなのですが…笑

でも、それでは信者として半永久的に縛っておく事が出来ぬ為に、それは組織教団の存立を脅かす論理でもあり、常に、ここにあそこにあの教祖に神があると言い続け、洗脳を更新して行く都合に迫られるものがある事に於いて、「あなたの中にこそ神が宿っているのだから、ここへきて一定の安心を得る事が出来たなら、後はしっかり地に足を着けて歩いて行きなさい」と背中を押し、反転させる様な事など間違っても言えないジレンマがあるのも、カルトや新興の教団の教祖や幹部を通して、エゴのシステムが人間の真の気付きと言うものに、抗い抵抗している事象として現れている事でもある様です。でも、これはカルトや新興宗教のみならず、程度や角度の違いこそあれ、人が集まり組織化された場所の何処にも働くエゴのシステム、力学と言うものなのかも知れません。

私は僧侶になる前にある方の勧めで、一度だけ見学を兼ねて、大きな教団の門をくぐった時があります。お誘い頂いたこの方は、心根の綺麗な方で、現在も交流させて頂いている方なのですが、そこの教団の方達は自分の教団を指して「お寺」と呼んでいたもので、訪れたその施設の威容はどう見ても私には、新興宗教の施設としか映りませんでした。世間を騒がせたオウム真理教などのカルトと同類に見られぬ様にとの配慮から、信徒に「お寺と言う様に」とのお触れでも出ているのでは？と当時勝手に思ったりしたものでしたが、 教団の施設に入ると…今は亡きその教団の開祖の御真影の前で多くの方が五体投地をして礼拝していたものです。

私はその教祖の遺影を見たとき、「このオッサン、人の良さそうな温和な顔をしてはいるが、女も好きそうな顔をしてるわい」と内心思ったもので、真摯にその遺影に向かい、五体投地を繰り返す信者の方の姿に軽い違和感なども覚えたもので、それは人を神と崇める事の限界と言うものを教えてくれているかの様でした。

その頃、極道の世界からは抜け出てはいたものの、まだ裏の世界でメシを食べていた頃で、斜に構えた皮肉な物の見方と言うものも私の中にあったのかも知れません…。でも、その後、その教団の知られざる歴史を知る機会などもあり、教祖に愛人がいた事に端を発した家族内を巻き込んだ分裂劇があった事などを知るに及び、自分の直感に訴えてきた事の意味を知らされた様な気がしたものです。

この教団の教祖が彫像したと言う仏像なども拝観したものでしたが、その見事な姿に、菩提(悟り)を求め、彫り上げて行ったであろう、この教団の教祖であり作者の真摯な想いも感じられ…世間には、巨大教団の教祖として、信者からの寄進など、莫大な収益の上にあぐらをかいていると言う見方はあるものの、道を求める個としての在り方と、組織教団の長としてのはざまに立ち、寂しさや孤独と言うものも人知れず抱えていたのではないかと…優しい微笑を湛えるその教祖の御影を見ながら思った私でもありました。

私はこの教団に縁が無く、二度と訪れる事はありませんでした。