キューポラのある街

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晩の勤行に入る前にTVを点けるとケーブルチャンネルで吉永小百合主演の『キューポラのある街』が放映されていました。

キューポラとは鋳物工場の溶解炉の事…
戦後間もなく起きた朝鮮戦争による特需景気も下火になり、鋳物工場にもオートメ化の風が吹き始めた昭和30年代後半の埼玉県川口市を舞台にしたこの映画には、荒川沿いの鋳物工場や、子供の頃を思い出させる当時の下町風情な古い町並みがフィルムに収められており、荒川の近く、川口市からも近い足立区に住む私には親しみの持てる映画です。

私が生まれる3年前、昭和37年制作のこの映画、当時はサユリストと言う言葉も生まれた様で、吉永小百合はトイレにも行かないと本気で信じていた熱狂的なファンもいたとか…笑

私は以前、浄霊のお仕事で、吉永小百合と同じ学校、同じクラスで友人だったと言う女性のお宅にお邪魔した時がありました。

その方も日本人ばなれした顔立ちをした方でもありましたが、同じ時期に女優を志し、デビュー当時の吉永小百合と撮影所で一緒になる事もあったそうです。

そんなある時、撮影所の中で会った事から、学校のクラスの友達よろしく『さゆり~♪』と、この方が手を振り声をかけると、『気安く声なんかかけないでよ!』と言わんばかりにキッと睨まれたそうで…笑
この当時より吉永小百合に大女優の片鱗があった事や、当時の新人の女優を潰してしまおうとする、楽屋裏での古株の女優によるイジメの実態なども話してくれたものです。

左卜全と言えば、黒澤明監督の映画など数々の名作にも出演した昭和の名優でしたが、ある時、撮影の合間に、この女性の隣に座り、ぽつねんと言ったそうです。

『普通のお嬢さんが、こんなところに居ちゃいけないよ。』と…

それから程なくしてこの女性は女優に成る道を断念したそうです。

私は『俳優や女優(歌手なども)と言ったところで、明日はわからぬ根無し草な商売、俺達とよく似ているじゃねえか…。』と極道当時などよく思ったものです。

役に魂まで取られてしまうかの様に、悲壮で悲しい役、影のある役を演じ、観る者に感動を与える女優と言うのは、それが自らのプライベートな人生にも投影されるかの様に波乱を描き、寂しい晩年もまた多い事、皆さんにも思い浮かぶ女優や俳優の姿があると思います。

傍目には華やかで美しい仕事…昭和と平成の今を比べる時、システムや構造にも格段の変化もあるのでしょうが、人前に自らを晒す仕事である事には変わりなく、それはどこかしらこうしたカルマを生じさせるのかも知れません。

それは栄光と失意、二元性のこの娑婆の映し鏡の様な生き方にさえ思えます。
でも、だからこそ人はその演技に自らを重ね合わせ共感するのかも知れません。

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それにしても今でも美しい吉永小百合であります。

合掌

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