それは香り、音、光りの交錯する幻想的なイベントとなりました。
※今回のイベントの為に制作されたチラシです。
※イベントにて講演中の拙者です。
今月2日に行われた、スピ誌anemone主催によるイベント『常世・遊びのじかん』は、耳で聴き、目で見、肌で感じ、鼻できくと言う、煩瑣な日常を送りがちな私達が、無意識のうちに感じることをやめた感覚にフォーカスする素晴らしい内容となりました。
人間の五感と言うべきもの…
改めて研ぎ澄まされてその感覚を感じる機会も少ない我々現代人でもあります。
陶芸家として著名な近藤宏勝さんの創作されたあかりが空間をほのかに照らし、幻想的な空間を醸し出し、参加者の皆さんからは、思わずため息が…
(≧Д≦)(〃д〃)
天城流湯治法、湯治司・杉本錬堂さんの精霊への呼びかけ、それに続く力強い錬堂さんの吹く法螺の音で幕より入場したゲストの私達でした。
シンと静まる会場の中、今回のイベントを企画立案した錬堂塾岩崎陽子さんにより、ご挨拶と共に、その趣旨が説明されていきます。
※杉本錬堂さんと、昨年のイベント時にて
力強い法螺の音に始まりを見せた今回のイベントですが…
法螺貝も、活きた貝、死んだ貝の見極めが大切で、見栄えは良くとも、死んだ貝では、いっこうに良い音が鳴らなかったりする事は、あまり知られていない様です。
※最近ではセルフでも出来る湯治の技を紹介した本も出版されています。
『湯治エクササイズ』著者、杉本錬堂
ビオ・マガジン社より出版
錬堂さんの用いた法螺は比較的小さめなもの…吹いて良い音を出すのもなかなか至難の技だったりもするのですが、高らかに響き渡るその法螺の音は…
私達、密教僧が、護摩供養をする時に仏を招請する際に吹く、甲乙、抑揚の利いた見事な音色でもありました。
(((;゚д゚)))
※イベント開始前に調香師、玉置美和さんとのツーショット!
日本全国で、その人に合うお香をブレンドするセッションをする事で有名なお香調合師、玉置美和さん独自のブレンドによる沈香の香りが室内に拡がって行きます。
嗅覚を通し雅の世界さえ感じさせるその香りは、深い瞑想へとトランスを呼び起こすかの様でもありました。
即興演奏家として国内外で活躍するチャッキリさんの演奏と言うもの…
時には旋律のままに、踊り、歌い、感じるままに発声するそのスタイル、香を持ち会場内をくまなく歩く、和服姿の玉置さんとクロスするその姿は、ある面ミスマッチでもありながら、でも、それがかえって臨場感を作り、参加された方達を、非日常、幻想の世界に誘うかの様な雰囲気があったものです。
チャッキリさんの夢幻に誘うかの様な演奏が低音で流れる中、お話しをさせて頂いた私でした。
一人で話す時間から、錬堂さんとのコラボでのトークへと続いて行きました。
その内容も、スピリチュアルな内容に始まり、簡単にグラウンディングを皆さんに体験して頂くワークから、錬堂さんの実践的な身体の不調を解消する為のアドバイス等…
短い時間ながらも多岐に渡るものになりました。
その中で、錬堂さんがつとに推奨される『咀嚼の大切さ』と言う事にも、話し及んだ私でした。
私などは、過去には極道の世界にいたり、少年院や刑務所などにも行ったせいか、自然と早メシの習慣が身についてしまったものです。
悪い言葉で言えば、チンタラとメシを食べている様ではつとまらない世界でもありました(笑)
自分より上の者の食膳を用意し、後より箸をつけても、食べ終わるのはこちらが早くなければならず…
こうした習慣がしっかり身に染みたせいか、私も十代から現在に至るまで、食事の時によく噛み、咀嚼する習慣など皆無に等しいものがあったのです。
( ̄▽ ̄;)
錬堂さんにしても、若かりし頃は自衛隊に入隊されていた事もあり、戦場を前提とした訓練をする場でもあり、ゆっくり食事など出来様はずもなく、畑こそ違えど、同様の経験もされた様です。
咀嚼不足は万病の元とする錬堂さんの持論は、裏を返せば咀嚼こそ、病気予防の最たるものである事を意味しており…
内蔵に負担をかけないばかりか、栄養の吸収や肥満の防止、免疫力の向上にさえ繋がる咀嚼の効能と言うものは、何かにつけ、病院、薬と外部頼みになりやすい私達の盲点なのかも知れません。
私はこの錬堂さんとのトークの中で、咀嚼がセンタリング効果さえもたらす話をさせて頂きました。
食事をしている時も、家庭や会社や子供の事に考えを巡らしたりで、食べ物の触感や味覚もおざなりな私達人間でもありますが…
錬堂さんの提唱する一口入れるごとに、20回~30回とよく噛み、咀嚼する習慣を身に付ける事は、健康増進の効果ばかりでなく、意識を舌に乗せる事でもあり、三食ごとにこれを習慣とする時、日頃散漫しやすい意識を自分の内側に置く事も出来る、センタリング効果もあろうと言うものです。
そして、私が極道の世界にいた若き日の話しや、スピリチュアルな気付きに至るまでの簡単なプロセスなどにも話しは及びました。
私は自分のところで行う講話会や、地方での講演などで人前でお話しさせて頂く機会に恵まれる時がありますが…
その当初、スピリチュアルな内容ならともかく、自分の極道当時の事を人前で話す事に少なからず抵抗を感じたり、葛藤を伴う事がありました。
『裏社会に長い事いた人間が、堅気になったからと言って、綺麗事を並べた様な事を人前で話していいのだろうか?』と…
私がいたその世界は、見ざる、言わざる、聞かざる、時には沈黙が重みを持つストイックな世界でもあり、そうした名残はどこかしら私自身に残っていたのかもしれません…。
過去にはアウトレイジな世界にいた私にとって、正直言えば、語れる事、語れぬ事、墓場まで持って行かなければならない事もあります。
でも、葛藤を手放し、自分の過去の経験や失敗談と言うものを、あっけらかんと、ジョークさえ交えて話す時…それは聞いているだけで重くドン引いてしまう様な、犯罪列伝の様な響きでは無く、聞き手の方の嫌味に為らぬ様に、たとえそれが一つでも、二つでも、明日の指針に成り得るものに構成出来る事に、気付いた時がありました。
人前で話す上で、自分でよかれと思う事と、人の心に響く『何か』が大きく違っていたりする事は、流暢に、弁舌爽やかに話す事とは、別のところにある事、よく感じるところでもあります。
錬堂さんと美和さんとの軽快なトークが始まり、塗香(ずこう)と言う、私達僧侶が、勤行や修法の際に必ず身体を清める観想をする為に用いるお香の話しに触れた為か…
『お寺さんの前で申し訳ないですが…』と、繊細な気遣いを感じさせる一言から始まった塗香師美和さんの話しは、ブレンドしたお香がもたらすポジティブ効果の体験実例なども語られ、参加された方達からは思わずどよめきが…
(( ロ゚)゚((( ロ)~゚゚
客席からは見えぬ幕の裏に並べられた調合されたお香の数々、どれも本格派プロ指向のお香である事は、沈香や白檀には少しうるさい私から見ても明らかでした。
※会場の皆さんの手の平に塗香を乗せて行く錬堂さんです。
その人にあった塗香を調合し、巾着に入れ胸から下げたり、財布に入れたりして愛用する方も多い様で、香道とも言うべき、その発想は、お香や抹香、塗香に日頃自坊で慣れ親しむ私でも考え及ばぬものがあり、感心させられる事しきりでした。
最後はゲスト、会場の皆さん共に、チャッキリさんが先導する童謡『故郷』を歌い終了した今回のイベントでしたが…
カッチリ、キッチリ四角四面なセミナーやワークショップも多い中で、雅の雰囲気あり、チョット日常からタイムトリップした様な遊び心を感じさせる今回のイベントは、私自身も貴重な体験となりました。
※最後にゲスト出演された皆さんと…
それにしても濃いっ!笑
正仙の常世~遊びの時間~はまだまだ始まったばかりの様です。
合掌