バブル景気真っ盛りの昭和60年代、当時極道の世界に生きていた二十歳そこそこの私は同じ組内の人間と共に都内某所にあった平屋の一戸建てを地上げすべく物件を占有し、若い衆部屋の様に住み込み生活を始めたものです。
(これにより競売価格が下がります)
何ともカビ臭いと言うのか、饐えた匂いのする家屋で辟易としたものでしたが、それでも組織の命を受けて短期間でも住む以上、トイレから玄関、床にいたるまで、以前の住人の垢を落とすかの様に綺麗に磨きあげ、快適に住める空間に仕上げてしまうと言うのもヤクザの職業病とでも言うべき掃除術と言うもので(笑)この家の目の前ではドラマの撮影で松坂慶子(当時は絶賛の美女でした)や名取裕子が訪れるなどしていたものでしたが、その様子を見ているだけでも楽しく、当時は山一抗争などと言うヤクザ世界の大きな戦争があった頃で、敵対組織の幹部のタマを上げ(殺害)長い懲役も辞さぬ覚悟で生きていた日々でもあり、何かちょっとした休暇をもらった様なそんな気持ちにさせられたものです。
ある時など、近所に住む電気屋のご亭主が、泥酔して私達が住む平屋の横を通り抜けざまに大きな声を上げて窓をガンガン叩いて壊して行ったもので、本来いずれ立ち退き更地になる物件でもあり、少々壊されたからとどうと言う事はないのですが、当時は金無しの八つ当たりする先を見つける事に鵜の目鷹の目なゴロツキだった私達にとって『待ってました!』とばかりにそれは恐喝の種でありメシの種でもありました。
当然の様に破損修理代と称して落とし前の金を払う様、慇懃無礼に向けて行くと、相手方は地回りのヤクザ(縄張りを持つヤクザ)を立ててきたもので『ここはウチのシマ(縄張り)なもんで、一つ穏便に頼みますよ』と言うこのヤクザに『それじゃお宅が間に入ってケツは持ってくれると言う事ですね?それなら〇〇さんとは話しはせず、今後はお宅と直接話をさせてもらいますよ』と極道世界特有の切り返しで応じると『💦いやいや、間に入るつもりはありません。地元の方なので穏便にとお願いしているだけです』と言い残し退散して行ったものでしたが、極道世界の掛け合いと呼ばれる対組織の交渉に於いては、『前に立つのか?』『ケツを持つのか?』と言う様な立ち位置を瞬時に問われるもので、堅気にありがちな『心配だから様子を見にきました』などと言う、いざとなれば責任を回避出来る様子見の様な話しは許されるものではなく『アンタ、間に入るつもりがないなら引っ込んでろよ』とカマシを入れられ男の器量を下げてしまい、またそうした下手売り(失敗)はたちどころに同業の間で情報として共有されてしまうそんな世界でもありました。
この家、確か二間あったと記憶しますが、特に奥の部屋、仏壇があったと思われる部屋と言うのが時折人の気配と言うのか不思議な感覚があったもので、気にせずにいたものの、睡眠中など、私が寝る布団の周囲をミシミシと歩く音や近くに水道の蛇口も無いのに『ピチャン、ピチャン』と水滴が落ちる音が聞こえるなどして気味悪かったものです。ある時寝落ちてしばらく経ったと思われる頃、身体の上に人が一人乗っている様な重量感に気が付いたものの金縛りで目が開けられず、そうしている内に首にヒンヤリと冷たい指先の感触と共に首を絞められているリアルな感覚があり、みるみる力が増し、これではこのまま締め殺されるものを感じた私でしたが、金縛りではあるものの、舌が動く事が分かり、奥歯に痛くなるほど舌をこすりつけ意識を取り戻し金縛りから脱しようと思ったもので、そうしている内に薄目を開けて見えたのは映画リングの貞子そのままの様な白い手が私の首に向けて伸びていたものです(笑)
※金縛りが睡眠障害などから発生する事も理解した上での投稿。
顔は見えなかったものの、舌の痛みで顕在意識も戻り『この野郎!』とガバッと起き上がった時にはその姿も感覚も消え去っていたものです。でも、首を絞められるている刹那、その亡者と思われる存在からの意念がハッキリ伝わってきたもので、それは『何しにこの家に来た💢とっとと出て行け!』と言うもので、今思えば、きっとこの家屋に住んだ以前の住人の先祖なり、この土地にゆかりの亡者の霊だったと思うのですが、この時、寝起きを共にしていた同じ組の人間が『いやあビックリした💦長い間うなされて怒鳴って起きるもんだから』言うのにも『そうか、夢でも見ていたのかな?大丈夫だよ』などと平静の態を装っていたものです(笑)
ふと私は、どこかの地方で憑依や霊障で憔悴し泣き止まぬ子供の枕元に刃物を置く事で魔よけの働きの様に収まる事があった話しなどを思い出し、また、地元(ヤクザ)にこちらの住所が割れている事もあり、快く思わない事から寝込みを襲われても即座に応戦出来る様、刃渡りのあるナイフを枕の下にしのばせて寝る様にしたものでしたが、すると金縛りや気味の悪い物音などもピタリと収まったものです。
私などは短剣密教の行者だった過去生もある様で、すでにこの頃より密教法具の活用など意識の中に浮上するものもあったのかも知れません。
合掌
密教僧侶ヒーラー正仙
元ヤクザ組長から密教僧侶ヒーラーになった男
真言宗・大元吉祥堂・堂主・ヒーリングルーム吉祥・主宰
かつて極道の世界に身を投じていたが、獄中にて
スピリチュアルな気付きが始まり、出所後堅気になり、
その後真言宗僧侶と成る。
あたり前に生きる事が難しい今の時代、
自らを不安や恐れと言う闇の中に囲い苦しんでいる方達に
それぞれの方が本来持つ、
あるがままの素晴らしい光や輝きに気付いて貰える様に
愛を基にしたパワフルなヒーリングやリーディング、
講演を心掛けて行きたいと思っています。