伊勢二見太江寺で行われる得度式に立ち会いの為、一昨日伊勢を訪れた私でしたが、この日は同じお寺の一門の弟弟子であり、敬愛する弟分、新垣玄龍さんが運営するゲストハウス愚狂庵に、翌日、新発意(しんぼっち)と成る方と共に宿泊しました。
※新発意(しんぼっち・仏門に入り立ての方や得度した男子を指す言葉)
伊勢を観光で訪れる国内の観光客は元より、海外からのツーリストまでが訪れる愚狂庵は、連日の賑わいを見せ、玄龍さんの「愚狂庵ナイト」などの動画でそのアットホームな雰囲気を知る方も多いのではないでしょうか?
※初めて自坊を訪れた時の玄龍さんです。今とは別人の感があります。
これも摩可不思議なご縁から、極道の世界から離脱し、仏門入りを決意した玄龍さんと伊勢二見太江寺のご縁を繋がせて頂いてからはや三年以上が過ぎましたが、月日の経つのは早いもので、他所から来た人間を認めぬ地方の閉鎖性はどこにもあったりするもので、ましてや玄龍さんは私と同じ様にかつては極道の世界にいた人間であり、尚更に色眼鏡で見られる事もあったに違いないのですが、托鉢行は勿論、フードバンク活動、最近では伊勢こども&オジーオバー食堂の開催など、貧困に苦しむ子供への視点から根差した活動が地域住民の共感を呼び、ボランティアを申し出る人が現れるなど、静かな拡がりを見せています。
宿泊当日は玄龍さんが用意してくれた「これでもか!!」と言わんばかりのたくさんの猪肉の入った猪鍋や鹿肉のステーキ、愚狂庵の菜園で 取れたゴーヤや無農薬で育てた野菜料理を馳走になり、この日はやはり極道の世界から足を洗い、同じお寺の一門の徒弟、玄龍さんの弟弟子なども駆け付けてくれて楽しい時間を過ごしました。
酒を酌み交わしながら、積もる話しに花が咲いた後休んだ私でしたが…笑
気持ちの良い小鳥の声に起こされた翌朝、得度式に向かうまでの僅かな時間でしたが、玄龍さんも共に愚狂庵のスタッフなかちゃんこと中林さんが、伊勢神宮ゆかりのお寺、慶光院(けいこういん)や、いにしえの時代に信仰された岩倉や伊勢神宮の祭事などにその姿を現す神馬の休息所なども案内してくれ、改めて伊勢神宮が本来神仏習合の神社であった事を再認識させられるものがありました。
※岩倉・磐座(いわくら・岩を神の寄り代とした精霊崇拝、アニミズム)
※慶光院(けいこういん)
三重県伊勢市宇治浦田町にあった臨済宗の尼寺。またその歴代住職の院号。16世紀初頭,初代の守悦が伊勢神宮の衰微を嘆き,宇治橋を架け替えたのに始まり,3代清順は外宮の遷宮を実現。
台所での写真はこの日愚狂庵で開催される伊勢こども&オジーオバー食堂に出すカレーをずんどう鍋で煮込む玄龍さんです。丈のある鍋を煮込む為、足の下に台を敷いて背丈を調整する玄龍さんの姿、その姿に、やんちゃな悪童の様な無邪気さと共に、この人なりの厳しさに裏打ちされた愛情も感じられて微笑ましく思えたものです。
常在戦闘、無間地獄の修羅道から抜け出て、伊勢の地で活躍する私の兄弟に、益々の光が降り注がん事を祈るばかりの愚僧であります。
合掌