時の経つのも忘れて雪だるまを作った俺…
本当に長い間忘れていた…こんな子供の様な無邪気な気持ち…
自分の仕事の取り組み方に、どうにも出口の無い焦りを感じ始めていた俺だった…
『社長、どちらへ行かれるんですか!?』スタッフの声を背中に『しばらく留守するから頼むぞ。』と勝手に会社を飛び出してきた俺だが…
若い頃、大学の仲間と共に訪れた雪山で、こいつを作っている内にそんな思いも溶けちまったさ…
なあ…雪だるまさんよ、あんたはこれから夜が明けて陽があたれば、形を変えてまた雪へと帰って行く事を知っている。
俺達人間は、今あるものにしがみつき、変化を恐れ、やっている事の値打ちを人に預ける事ばかりに懸命で、時に疲れてしまう…そんな生き物なんだよな…。
限界は人の思惑にあるのではなく、自分の中だけにある。
行き詰まりを感じたら、また一からやり直せばいいさ…
あんたが季節ごとに雪から水に、水から揮発して雲に形を変える様に…
さあ、もう一杯ウィスキーを飲んだら山を降り街へ帰るとするか…
ありがとうよ…雪だるまさん…
~by 正仙劇場~
合掌