恩讐の彼方に…輪舞の終わり①

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もうだいぶ前の事…

自坊に一人の女性が訪ねて来た時がありました。

その方はそれまでも私からヒーリングを受けた事もあり、その日が数えて三度目の来訪…

私はその日…彼女の核心に触れるであろう事を予感しながらリーディングのセッションに入ったのでした。

彼女はつい最近までキリスト教の教義を母体とするカルト教団の中心的人物でもありました。

穏やかながらも噛み締める様な口調で、その教団結成の経緯や今に至る心情を話してくれたものです…。

当初は純粋にキリストの教えを語り合い、賛美歌を歌い音符和やかな雰囲気で終始するサークルだったと言います…。

リーダーは男性でとても穏やかながらも魅力的な性格の持ち主…
彼の周りには笑いが絶えなかったそうで…

そうしたリーダーの人柄やこの女性の包容力もあってか、人が集まるのに時間はかからず、サークル的な集まりから徐々に新興教団としてのカラーが強くなり始めたそうです…。

営利化が図られ、この頃から当初の純粋な意図を離れ、リーダーがまるで人が変わった様に何かに取り憑かれた様に暴君振りを発揮し始めたそうで…

「教団を維持する為!」

「布教を充実させる為!」

会員に対する高額の寄進を強要し…

拒む会員に対しては信仰の姿勢が欠如していると非難し、挙げ句の果てには幹部会員に対しての暴力までが日常茶飯事となり…

そこに重なるこのリーダーの配偶者による女性会員に対する嫉妬や妬み…

人をそそのかしたきつける事を私は昔(ケツを掻く)と言ったものですが(笑)男と言うものは弱いものであり、愛する女性から寝物語で吹き込まれた事を鵜呑みにしてしまい…

結果、身を滅ぼす事はいにしえの昔より数々の歴史が証明している事でもあります…。

こうなると、宗教以前の話しで嫉妬と猜疑の渦巻くドロドロとした私怨の場と化した聖堂…

そこにはキリストの愛のカケラさえありません…。

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そんな最中でも、この女性は当初のリーダーの姿勢に戻って欲しいと願い喧嘩になるのを承知で諌言を試みたと言います…。

しかし時すでに遅し…

高額の寄進に味をしめたこのリーダーは金の亡者と化し、耳を貸すどころか、皆の前でこの女性をあからさまに非難する様になったと言います…。

この時この女性は気付いたそうです。

いつの間にか会員の皆がこのリーダーを恐れ、寵愛を得たいばかりに没個性とでも言うべき…

同じ顔になってしまっている事…

オウム返しの様にリーダーと同じ事を言う様になってしまっている事を…

ここに至って彼女は、このカルト教団からの離脱を決意し、夜逃げ同様にその教団やリーダーとも決別したのでした…。

その後…その教団は司法の介入するところとなり、そのリーダーも逮捕されたとの事…

この女性も教団を離れやっと得た安堵なれど…

教団に残った友人を救う事なく逃げた自分を責めて、自責の念で押し潰されそうな日々を送っていたと言います…。

死んでしまおうかと思った事も数知れず…。

またこの教団が瓦解する時に、そのリーダーが「教団がこうなったのはあいつ(この女性)のせいだ、あいつは呪い殺してやる!」と呪術を行っている様子なども本人の耳に入っており、そうした事も日々を送る上での不安要因としてある様でした…。

「人を呪わば穴二つ」と昔の人は良く言ったものです…。

私の元にも妻子持ちの男性に恋焦がれた女性などから電話が入り「調伏祈祷によって男性をこちらに引き戻す事が出来ないか…?」との問い合わせが入る事も以前はよくありましたが…

私はこうした場合即座にお断りしてきました。

自らのエゴを満たす為の祈りと言うもの…

例えその時、効験と呼ぶべき好ましい状況が訪れても依頼された願主の方も行者の私もカルマをつくる事でもあり、恋愛成就とは名ばかりの呪いを立てている事に他ならないからです…。

何よりも依頼された願主の方を自分の魂の課題に向き合う事なく馬鹿扱いにし、こちらに依存させ、縛りにかける事でもあるからです。

自らが世界に発したものはブーメランの様に自らも受け取ります。

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【つづく】

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