こうして私はガイドの方と共にシャーマンの元を訪れたのですが…
予想に反して、シャーマンの方の自宅は閑静な住宅街の一角にありました。
私達が訪ねて来るのをすでに知っていたのか?家の前に立ち、私達が到着するのを待っている様子が車の中からも認められ…
見ると、これもまた予想外とでも言うべき、年齢も私と同じくらいの目鼻立ちのハッキリしたイケメンの美男子の様です。
私がガイドの方と共に車から降りてこのシャーマンの方に挨拶しようとした刹那目がバッチリ合ったものです。
その瞬間、まるで目から額に至る15センチくらいの幅をスライスカットされた様な額に風が吹き抜ける様な感覚…
それはまるで、自分の心を瞬時に見透かされた様な感じです。
( ̄▽ ̄;)
当時の私はまだ得度前の時期でもあり、持ち前の直感力はありましたが、霊能や透視という事に対しては全くの素人でもありました。
このバリ島の旅行以後も…現在に至るまで色々な霊能者の方にお会いする機会がありましたが、稀にこうした感覚を感じる事がありました。
シャーマンの自宅に入り、その一室に通されました。
このシャーマンの奥さんは日本人で、通訳を兼ねて立ち会って下さるとの事で…
私の正面に座ったシャーマンがリーディングに入る為に、トランス状態に入って行くのがわかります。
阿吽の呼吸で、奥さんが「何か見てもらいたい事や聞きたい事があったらどうぞ!」と声をかけてくれます。
これを聞いて「ハテどうしたものかな?」と…質問を殊更に考えてこなかった私は一瞬躊躇もしましたが、次の刹那…
「私の過去世は何でしょうか?」と口をついて言葉が出ていました。
少しの沈黙の後…シャーマンがカッ!と目を見開き私を見つめた後で、静かな口調で話し始めるのでした。
それによると、遡る事、時代は日本の戦国時代……
私はエンペラー(天皇家、もしくは大名?)に仕え現在の東京より西の地域で、強大な力を持つ武将だったと言うのです。
「どの様な姿でそれは見えていますか?」と私が尋ねると…
当時の大名や武将が平時に身につける装束のそれを、身振り手振りを交えて詳細に話し始めたのです。
(((;゚д゚)))
私はその後も他の霊能者からリーディングして、過去世を見てもらう機会もありましたが、この戦国時代の武将や、僧侶、神道や修験道の行者だった過去世を繰り返し指摘される事になります。
私は小学生の頃、異様なくらいに戦国時代の大名や武将というものに興味が湧き、織田信長や武田信玄、上杉謙信など…
時の武将の伝記小説を読みあさり
それ以後も太平洋戦争から生還された方が書いた『大空のサムライ』と言う本や、神風特攻隊に関する本などを片っ端から読んだものでした。
正直なところ…戦後20年も経ってから生まれた子供が読む本ではなかったに違いありません(笑)
亡くなった父は共産党を支持していた事もあり、太平洋戦争に関するドキュメンタリー番組が放映され、私が見ていたりすると…
「こんな日本が負けた戦争の番組など見たくもない!」と、チャンネルを回してしまったものです。
しかしながら…私はそうした戦記物の番組などで、神風特攻隊員が敵母艦に体当たりするシーンを見たりした時など…
子供心にも「人間としてこれ以上の純粋行動があるだろうか?」と…
私は人間が極限状態で見せる偉大さを見出だした様な気持ちになったものでした。
不思議なもので、子供の頃から、言い様のない無常感を感じる事が多く…
それは例えば、ひとつの大きな御家(武家)の興亡を経験した様な不思議な感覚でもありました。
『諸行無常の響きあり』という言葉がありますが…
まさにその感覚でした。別の言い方をすれば、敵に攻められ、落城間際の城に居て
「もはやこれまで…」と、笑みさえ浮かべ、自分のそれまでの人生を懐古の情と共に走馬灯の様に思い出している様な感覚や…
敗戦を覚悟で敵陣に斬り込んで行く侍の悲壮感やヒロイズムの様な感覚が湧きあがり…
何で子供の自分にそうしたものがあるのか不思議に思ったものです。
私は子供の頃から、滅びの美学とでもいうべき刹那的で儚い人生に憧れる気持ちが強かったのです。
自分自身大人になり、刹那的で、ストイックな極道の世界に足を踏み入れたのも、こうした感覚、それは過去世から来ているエネルギーにも、大きな原因を成していたのかも知れません。
今はそれがハッキリとわかったりもしますが…
面白いもので、過去世での趣味や嗜好といったものが、今世の自分に反映されている場合も多いという事です。
私はある透視のリーダーの方から「 あなたお侍さんだった頃、とてもオシャレだった様で、鎧兜をズラリと並べ、今日はどれにしようか?と選んでいるお姿が見えますよ。」とアッケラカンと言われたり…
別の過去世では欧州の金物職人だった時もあった様で、この時は…短剣をコレクションし、部屋の至るところに飾っている姿が見えると、言われた事もあります。
これなども至って自分自身納得の行く事で、過去の自分の着道楽や骨董品の収集など、凝り性だった自分に過去世の同じエネルギーが反映している事と言えるのかも知れません。
この当時の妻などは
(刑務所から出所後離婚)
そんな私に腹を立ててか…
「ちょっとあんた!金が入ったと思えば、ざるの様に使い放題で、一体どういうつもりなのよ!』と私に喰ってかかってきたものでしたが(笑)
「わかったからあそう怒るなよ…」と、そうした時は、頭の上がらない私でもありました(笑)
これだけ見れば面白おかしい話しですが、別れたとは言え、当時は苦労や心労をかけた女性でもあり、何処にいても幸せに暮らして欲しいものです。
こうして、バリのシャーマンによるリーディングも佳境に入って行きました。
【 つづく 】