20年近くお世話になっている便利屋さんに提灯受けの制作や御簾上部への設置までをお願いしたのでしたが、提灯の取り付けを終わり手間や材料費などをお支払いすべくお聞きすると『檜材にかかった材料費だけで結構です』と、僅か数千円の金額を伝えてきたものです。
こうした物を神具や仏具制作の業者などに頼めば、当たり前に数万円の請求をされる事など、お寺の世界に生きる方なら誰しも知るところですが『何かウチのお抱えの宮大工の様に便利に使ってしまって申し訳ないですね』と声をかける私と共に大笑いする便利屋さんでした。
それでも、幾分かはお気持ちを乗せた金額をお支払いしたものでしたが、実際に宮大工の家系の方であり、これまでもお堂やセッションルームの修繕や改装、風呂場や水道など水回りの修理、障子張りから私が遠方へ出張の際の愛犬チビの世話までを低価格で引き受けて頂き本当に有り難いものがあります。
大きな伽藍を擁する観光寺には足元にも及ばぬ規模の自坊ですが、これまで様々にも人の好意や協力、支えがあって今がある事を想う時、益々、ピリリと小味の効いた山椒の如き活動をして行きたいと願う愚僧であります。