昨日は元極道の僧侶、関口道薫さんが新年のご挨拶に自坊を訪れてくださいました。
有髪で普段着だとお坊さんには見えないかも知れませんが、企業のコンサルなどしているからであり、数年前に初めて私の所に来た時など『自分みたいのが、剃髪にして背広姿で街歩いていると職質にあってかなわないもんですから』と冗談とも真顔ともつかぬ顔で話す道薫さんに思わす笑ってしまった私でしたが、
私にしても得度直後などは運転中にポリ(警察)に止められ職質などに合う事もしばしばで、『職業は何をされている方ですか?』と言う警官に短く『坊主です』と当時多少残っていた反骨を込めて答えると(笑)提示した免許証から私の過去の身分帳にアクセスしたのか?『お坊様でしたか、それはどうもおつかれさまです。ところでトランク、ダッシュボード拝見していいですか?まさか拳銃とか隠し持っていないですよね?』などと、何ともにこやかに慇懃無礼な対応などもされたものです(笑)
でも、こうした事も身から出た錆、不良の世界で培った心の垢を落とす事に比例して経験して行くもので、これなどは笑い話しの他愛もない事ではありますが、元極道などと言うのはそれがどの様な仕事に就くにせよ、ふるいをかけられる様に試されるもので、堅気として生きて行く上で当たり前の様にくぐり抜けて行かなければなりません。
(今ではさすがに職質を受ける事はなくなりました笑)
道薫さんは、得度から師僧のいるお寺での行事や護摩供に出仕、参座するなどの下積みをした後、昨年には四度加行、伝法灌頂も無事成満し、晴れて真言宗の正式な僧侶である阿闍梨位を取得した方です。
在家出家にあるパターンとして、仕事や諸々、日々の生活に流されてしまい、お勤めや行法などからも遠ざかり、有名無実化している事を嘆く方などもいたりするものですが、道薫さんは早々にそれも手作りの護摩壇を自宅に設置するなどして、日々護摩行に励む他、お寺の雑務や行事にも参加するなどして余念が無い様です。
お師僧様にも恵まれている様ですが、同じ一門の兄弟子でも無い私にその都度礼節を尽くしてくれるその姿勢は、きっと、極道当時からそうであったに違い無く、目上の引き立てに合う資質と言うものは一朝一夕に培えるものではありません。
お互い元極道と言う事で、お釈迦様が雲の上から転がり落ちてくる様な脱線した話しなども楽しく、次回滝行でのご披露目指して法螺貝のお作法の伝授なども受けている様で『当日、チャルメラの笛の音と間違われぬ様頑張ります』などと冗談を言う道薫さんと大笑いした愚僧でした。
お年賀なども頂き有り難うございました。
合掌