忙しさにかまけてすっかりご紹介が遅れてしまいましたが…
悠弘さんは私と同じく、全くお寺と縁のない在家から仏門に入った方であります。
以前は板前として腕を慣らした過去もあり、得度し修行を積んで行く上での戸惑いや想いが、極道より仏門に飛び込んだ私とオーバーラップする部分があり、私はいつも好感を持って彼のブログを楽しみに読んでいたのでした。
そんな悠弘さん、この四月に高野山真言宗のお寺のご住職になられました。
真言密教では、新しく住職に成りお寺を引き継ぐ時晋山式と言う一大イベントを経験しなければなりません。
そんな時悠弘さんは私にメッセージをくれたのです。
そこには新住職が宣誓する「奉告文」を私にカスタしてもらえないでしょうか?と半分テレを隠しながらも書いてありました。
私を仏道の上での兄貴分と呼んでくださる悠弘さんですが…
私などより遥かに早くより仏門に入り精進を重ねてきた方でもあり、本来彼の方こそ、この道では先輩でもあるのです。
そんな私によくぞ厳かな大役を頼んできてくれたと…快諾した私だったのですが、悠弘さんからメールで届いたその奉告文の雛形を見た時…
そこには弘法大師の法脈を継承する新住職としての決意は勿論ですが、人間悠弘としての熱い想いを感じるばかりであり…
密教寺院の護摩焚きを見た事がある方なら、僧侶が護摩壇を目の前にして読み上げる「表白」や「祈願文」に一般の方では理解しがたいものがある事…
僧侶が読み上げる独特の抑揚と共に耳にされた方も多いと思います。
そうした仏の功徳を讃える表白や奉告文と言うもの一定の書式と言うものもあり…
人間としての純粋な想いをそこに書き加える事の難しさは密教僧ならでは知るところでもあります
しかしながら、彼の書いた奉告文は季節を感じさせる言葉から始まり、大日如来から弘法大師の法脈に連なる新しい時代の住職として…
まさに末法の世にカンフル剤を打ち込まんとする「人間悠弘」その決意を感じるばかりだったのです。
極道当時…私は刑務所から出てきた人間を祝う放免の挨拶や人前で口上を述べる挨拶など随分としたものでしたが…笑
「一家一門発展繁栄の為、一命を賭して任侠道に邁進する所存であります…御指導、御鞭撻の程よろしくお願い申し上げます」
などと眉間にシワを寄せ、これまた極道社会独特の抑揚のついた挨拶をしたものでした(笑)
しかしながら奉告文は蓮の華咲く仏道の世界の事…まさに自らが金剛界、胎蔵界の諸尊と共に、衆生救済に生きる金剛薩太(菩薩)として、弘法大師の法灯を伝えるその決意を現す奉告文…
いたずらに浅学非才の私がペテを回し(ペテンの略、頭を働かす事)悠弘さんの文面に手を加える事は彼の純粋な想いを濁ったものにしてしまう様に感じられ…
手の加える余地のないその文面に感服するばかりだったのです。
今月12日よりの松山の出張セッションに私に会いに来てくれる悠弘さんは、主催してくださるLEOさんと共に杯を酌み交わしたい私の仲間でもあります。
二人の幼い娘さんを眺めるその慈愛にあふれた目線…時には熱き血潮を感じさせる男の視点から書かれる悠弘さんのブログは…
時には「オイオイ、そんな事書いて大丈夫なのか」と思えば…
思いっきり!妄想ワールドが展開されたりもして…
硬軟自在の楽しくも共感できる内容になっています。
是非ご覧になって頂きたいと思います。
悠弘さんとのご縁もきっとお不動様やお大師様がもたらしてくれたのでしょうか。
新しい時代の密教僧侶悠弘さんに心よりエールを送りたいと思います。
合掌