
かねてよりご報告は頂いておりましたが、この度、道薫さんが僧籍を置く真言宗国分寺派の直轄寺院として、山号を明神山、寺号を薫風院として晋山(住職の辞令を拝命)のご報告に改めて自坊に上がって頂いたものです。
緊張と照れ臭さが混在した様な道薫さんの表情を拝見している内に五年前に初めて私の所に来た時の事なども思い出され、本山への出仕や行事への参加など、献身的な姿勢が実を結んだものが感じられ、我が事の様に嬉しく感無量な想いがしたものです。
道薫さんも私同様、元極道からの転身組であり、極道渡世に生きた心の垢とでも言うべきものを落とす過程で、それがいかに難儀であるか、少しばかり先を歩いていた私には分かるものがあり、時折ご意見などもさせて頂いたものでしたが、打てば響く様に飲み込みの早い方で、生来の負けん気の強さと情の厚さ、向学、探究心、全てが精進に裏打ちされて栄えある今日に結実したものを感じるばかりです。
この日も私の所へ来るなり『ワイロをお持ちしました』などと(笑)箱いっぱいに入った私が好物の秋川牛レトルトカレーのお中元をくださるのでしたが、初めてお会いしてより変わる事無きその姿勢、情誼というもの。私は道薫さんとはお山(本山)も違い、本来、道薫さんの兄弟子にあたる人間では無いのですが、一貫して兄事の礼を持って接して頂いているもので、共に今は堅気の上に仏門の末席を穢す身である事から極道渡世の兄貴、舎弟ではありませんが、義弟の絆を感じる方でもあります。
この良き日、道薫さんの益々の仏果増進、仏法興隆、布教発展に寄与すべく、私が長年自坊で拝みし仏師友田光重謹刻の不動明王立像を寄贈させて頂きました。本来、拝み込んだ仏像の譲渡など、撥遣(精抜き)してお渡しするのが習いなのでしょうが、私などはどこから拝んでもお不動様と観ずるもので、しっかり真面目にお勤めもされている道薫さんであれば障りがあろうはずも無く、『気になる様でしたら、ご自坊で改めて撥遣してお性根入れ直したらいいですよ』と言ったところ『そのままで結構です』とのお返事で、私の所から道薫さんのお堂のある秋川までの帰りの車中、ずーっと不動真言を唱えて移動したそうで(これもお作法の一つ)『おかげで一度も渋滞つかまりませんでした!』と、帰坊の連絡などもLINEで頂いたものでしたが、愚直で真面目なお人柄が窺える様で、思わずほくそ笑んでしまった愚僧であります。
寺院関係各位様、またアメブロやフェイスブックで繋がる皆様、今後も私同様、真言宗、国分寺派、薫風院住職となられた大黒天行者でもある関口道薫氏へ倍旧増してのご指導、ご鞭撻賜ります様、この場をお借りしまして伏してお願い申し上げます。