お年寄りとパーマネントの記憶

お年寄りの人口が多い足立区。最近だけでも認知症と思われるご高齢の女性へお声掛けさせて頂く機会が何度かありました。

近所のスーパーで買い物し、レジでの会計を終えマイバックに食料品を詰め込んでいると、私と並ぶ様に少し離れた場所でやはり買った物の袋詰めをしていた高齢の女性がいたものですが、『あら、困ったどうしよう💦』とぼやく様に発すると、不安気に周りをキョロキョロし始めたもので、行き交う人に『ここはどこでしょうか?』『こちらの住所を教えてください』と聞くものの、怪訝な顔をされて通り過ぎるばかり。

その様子を見ていた私は『おばあちゃん、どうされました?』と声をかけたもので『申し訳ございません💦帰れなくなってしまって、こちらの住所を教えて頂けますでしょうか?』とのお返事に、スマホを持たされている様子だったので、ケアマネさんの事などを聞き出しこの方のスマホより電話すると『最近徘徊が頻繁で💦これから迎えに行きますのでご迷惑おかけしますが、私が到着するまで少し離れた場所からで結構ですので、どこかよそへ行かぬ様見てて頂けないでしょうか?』との男性の声に『分かりました。お宅が着くまで見ております』と答えたものです。

お年寄りを促しスーパーの表に出て待っていると、またこのお年寄りの中で記憶が錯綜しているのか『息子が迎えにそこまで来ているので失礼します。有り難うございました』と深々と一礼し歩き出そうとするので『おばあちゃん、そっちへ行っちゃダメよ。ケアマネさんくるから一緒に待っていようね』と言うと『そうですか、かえってご迷惑をおかけします』と困惑顔のおばあちゃんでしたが、また少しすると今度は反対方向へ歩き出そうとするもので、

『道路へ出たら危ないからこっちにいようね』などとお年寄りの手を引いている内にケアマネさんが到着したものです。話しを聞くとこのおばあちゃん、随分と遠くより歩いて来られた様で、『有り難うこざいました。お世話になった事は決して忘れません』と、三分先にはきっと忘れられているだろうと思いつつも(笑)言葉遣いも丁寧に、きっと若い頃は律儀な性分だったのだろうと、ケアマネさんに手を引かれ帰って行くお年寄りを見送った私でした。

またある時はやはり近所で徘徊しているとおぼしき白髪のお年寄りが歩いていたのでお声掛けすると『娘が白百合パーマネントに予約を入れてくれたのですが、どこにあるか教えて頂けないでしょうか?』との答えに、失礼ながら美容院からは長年遠ざかっているとお見受け出来る頭髪、何よりも娘さんの同伴が無い事にこの方の状態が見て取れる様でもありましたが、それを見ていたやはり年配の男性が『何を言ってるんだ婆さん、そんなパーマ屋、昭和の昔にとっくにつぶれたべ』と心無い言葉を投げつけたものです。

でも、このお年寄りも負けていないもので『いえ、娘が5時にパーマネントに予約を取ってあるので行かなくてはなりませんので失礼します』と、今度は踵を返す様に反対方向へ歩き出したもので、私は自転車を押しながら『おばあちゃん、夕方5時じゃ美容院やってくれないから帰ろうよ』と言うと、『有り難うございます。○○スーパーで買い物して帰りたいので教えて頂けますか?』などとまた回れ右をして歩き出したもので(笑)『スーパーなら分かるから一緒に行きましょう』と自転車を押しながらこのお年寄りと並んで歩いてはいたものの『さて、どうしたものかな?』などと思案を巡らしていると、前より『あら💦○○のおばあちゃん、どこ歩いているの?一緒に帰りましょう』と、時の氏神の如く(笑)このお年寄りをよく知るご近所の方が現れたもので、

手を引かれ帰って行くお年寄りの姿にきっと今は無きそのパーマネントに通っていた頃、この方にとって思い出深い躍動するものが、認知症となった今も画像として残っているものを感じた愚僧であります。

合掌

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密教僧侶ヒーラー正仙
元ヤクザ組長から密教僧侶ヒーラーになった男
真言宗・大元吉祥堂・堂主・ヒーリングルーム吉祥・主宰

かつて極道の世界に身を投じていたが、獄中にて
スピリチュアルな気付きが始まり、出所後堅気になり、
その後真言宗僧侶と成る。

あたり前に生きる事が難しい今の時代、
自らを不安や恐れと言う闇の中に囲い苦しんでいる方達に
それぞれの方が本来持つ、
あるがままの素晴らしい光や輝きに気付いて貰える様に

愛を基にしたパワフルなヒーリングやリーディング、
講演を心掛けて行きたいと思っています。

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