☆人生交差点・雨上がりの散歩道で聞こえた歌

※社会通念上不適切な表現や描写がある事をお許し頂きたいと思います。

この歌が流行っていた頃皆さんは何をされていたのでしょうか?

動画を見てもとんねるずの姿にバブルの余韻さえ残る当時を回想させられるものがありますが、当時は私も極道世界に身を置く頃で二十代半ばを過ぎた頃でした。

この歌が流行る前後にヤクザ世界の大きな抗争などもあり、敵対組織の縄張りのある某地方都市に潜伏したものです。

『大組織』が相手とあってか、その地元組織の幹部や組長クラスの人間達も身を潜め、皆目誰も姿を見せなかったものでしたが、そんな中、情報収集も兼ねて、地元でも有名なクラブに飲みに出たものです。

席についた女の子達に好きな酒を飲ませても私自身はウーロン茶やトマトジュースなどを舐める様に飲んでいたもので、店の子からすればおかしな客だったに違いありません(笑)

この時の私はジーンズを履き、ラフな格好で訪れていたもので、店の入り口の見えるボックスに座り、席に付く女の子達と冗談など交わしている様でありながら、私も当時は大組織の先兵に他ならず、写真で見て自らに叩き込んだ敵対組織の幹部の姿、現れなければ雑魚(末端の組員)でも構わんから殺ってしまえとの命は受けていたものであり、堅気を装い陽気に飲んでいる様ではあっても、周辺視野に客の出入りは全てとらえていたものです。

文字通り腹に『鉛』でも飲み込んで酒を飲んでいる様な心境でしたが、この頃には私も殺気など出さずに周囲に同化する術(すべ)も心得ていたもので、ヤクザと言うのはピリピリした緊張の中にもユーモアを同居させたりする不思議な生き物だと若い時分にはよく思ったものです。

クラブの女の子の中には必ずと言っていいほど、地元のヤクザの妻や愛人に収まっている女性はいるもので、目の配り方、身体の動きや話し方一つでそれは分かったものですが、それは逆もまたしかりで、女性の方でも付いた客が極道なのか?ネス(堅気)なのか?身内なのか?反目(敵の組)なのか?しっかりした女性と言うのはたちどころに見抜くものでこうした場合にも『蛇の道は蛇』とはまさに言い得て妙でもあります。

こうした事からましてや抗争時の厳戒体制の中でもあり、店への余所者の出入りなど女性や店そのものにもチェックし打電する様に地元のヤクザが念達している事など火を見るより明らかであり、油断していれば店に駆けつけた地元の極道に返り討ちに合う危険性も十分に見越した上での事でもありました。こうした事から他の席で接客する女性の席の立ち方までが視野に入っていたもので、店の裏でヤクザの男に連絡している場合などこちらと視線を合わさず、そそくさとした雰囲気なども出るので分かるものがあり、客の出入りと共に注意を向けていたものです。

でも、そんな中、私の隣に座った女性がいたずらな顔で私に『お客さんて、やくざ屋さんですよね?それも地元の人じゃないし、もしかして〇〇組のヒットマンとか?』と小声でこちらの顔を覗き込む様に聞いてきたもので、この女性、年齢は二十代前半で綺麗と言えば綺麗なのですが、どちらかと言えば水商売には不向きな煙草屋の看板娘タイプの子で「いつもヘルプで自分のお客さんいないんです💦」と自嘲気味に笑うその笑顔におぼこいものがあり、それでいて話しも面白く、私の方は『車屋』で通し素性を明かす事もありませんでしたが、すっかり仲良くなり、この街に滞在中、食事なども一緒に行ったものです。

どこかしらこの女性に影を感じていた私でしたが、話しを聞いて見ると好きな男性が出来る度に流産を繰り返し子供を産めない身体になってしまったのだとか…
その後、抗争は急転直下で終結し私は潜伏先より撤収の身となりました。この街を離れる時にこの女性が「色々今流行りの歌を吹き込んでおきましたから、帰ったら車で聞いてくださいね」とカセットテープを渡してくれました。帰ってより車で早速聞くと「ガラガラへびがやってくる~♪」のメロディーに思わず『頼むぜ、おい💦』とぼやいた私でしたが(笑)この女性のイタズラな笑顔も同時に思い出したものです。

それからしばらくしてより良き男性と出会い結婚する旨の連絡などを携帯にもらい『おう、それは良かったね、幸せにね!』と応答したのが最後となりました。
また、この街に潜伏中、道先案内を務めてくれた他の組織の人間などもいたものでしたが、ヤクザには不向きな綺麗な目をした優しい人情味のある男でした。でも、それからしばらくしてより惨殺され、地方のお城の堀に無残に捨て置かれると言う寂しい亡くなり方をしました。

雨上がりの道を愛犬チビと散歩をしていると、目の前を静かに横切るプリウスの少し開いた窓から聞こえた『ガラガラへびがやってくる~♪』の高音で突拍子も無いそのメロディーに、二度と戻る事の無い境涯に生きた若き日の刹那の出会いと別れを思い出した愚僧であります。

              合掌

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密教僧侶ヒーラー正仙
元ヤクザ組長から密教僧侶ヒーラーになった男
真言宗・大元吉祥堂・堂主・ヒーリングルーム吉祥・主宰

かつて極道の世界に身を投じていたが、獄中にて
スピリチュアルな気付きが始まり、出所後堅気になり、
その後真言宗僧侶と成る。

あたり前に生きる事が難しい今の時代、
自らを不安や恐れと言う闇の中に囲い苦しんでいる方達に
それぞれの方が本来持つ、
あるがままの素晴らしい光や輝きに気付いて貰える様に

愛を基にしたパワフルなヒーリングやリーディング、
講演を心掛けて行きたいと思っています。

 

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