☆『酔うと化け物になる父がつらい』アル中、DV、貴方の愛する人は大丈夫ですか?

 

 
『酔うと化け物になる父がつらい』
著者 菊池真理子
秋田書店

 

 

 

先日、漫画家小沢カオルさん

が、東京テレビ放映の「おしゃべりオジサンと怒れる女」に出演し、番組開始早々、私の事を取り上げてくれた事などをこのブログでUPしたばかりですが、この小沢カオルさんが、本名の菊池真理子(以下菊池さん)の名前で出版した「酔うと化け物になる父がつらい」を読むと、母親の自殺から始まり、父親の液状化とでも言うべきアルコール依存の顛末、隷属させられるかの様な婚約者からのDV(ドメスティックバイオレンス)の日々などが綴られており、本来軽く読み飛ばせるはずの漫画なれど、自叙伝小説を読んでいる時の様な重さがあり、思わず引き込まれてしまった私でした。

 

そこには、菊池さんよりこの本を出版する前に、決意の程を聞く機会があった事も影響していたのかも知れません。

 

アル中は自らをアルコール依存症とは決して認めぬものです。深酒からくる失態、暴力から職を失ったり、家族や配偶者、人間関係を失い、孤立し、最後は肝硬変など臓器、精神共に病んでしまい、寿命を縮めてしまう傾向がある事は、私自身極道当時から随分と見てきた事でもありました。

 

(私が昔いた極道の世界、強い組織であればある程に24時間体制とでも言うべき、トラブルなど緊急時の連絡対応を迫られる時がある事から、「殺して飲む習慣」が身に付いてしまい、陽気に酒席を楽しむ事はあっても、前後不覚になる程飲む事など考えられなかったものです。意外や健康管理に気を使う人間もその世界には多く、酒で身を持ち崩すのはむしろヤクザに連なる堅気の衆に多かった様な気がします)

 

また私のところにセッションを受けにくる女性の中には、あからさまなDVの被害に遇っている人もいれば(女性から男性への暴力のケースも)「恋人や夫からの暴力が(言葉も含め)愛ゆえからのものなのか?それともDVなのか?私が(子供の為にも)馬鹿になって我慢すれば良いだけなのか?」と日々煩悶している方や、今まではなかった夫や恋人の自分を叩く、手の出る習慣に少なからずショックを受けている方もいるもので、子供をめぐる教育方針の違いから言い合いになり、夫である男性に叩かれたのがきっかけで、事ある毎に叩かれる様になってしまい、図星を突かれて逆ギレした時など、必ずと言って良いほど暴力を受ける様になった事などを話してくださる女性も多かったものです。
でも、女性は夫である男性をよく見ているもので、何事にも母親の意向ばかりを気にするマザコン気質の夫にイラつき、そのマザコンぶりを逆撫でする様な事を言ったばかりに逆上され、酷い暴力を受けたりと言う事もある様で、「自ら認めたくない事ほど」人間と言うのは、地雷と化した「画像」をメンタルに刻んでいるもので、他者からここに踏み込まれると、その画像を自らの中でライトアップしてしまい、抗う感情が強いが為に理路整然と反論する前に手が出てしまうパターンと言うものもある様です。

 

でも、逆に妻や恋人からマザコン気質をなじられた男性側のセッションと言うものもあるもので、妻からは暴力大将の様に思われている夫の内面に、実は子供の頃から母親に厳しく躾られ、兄弟と比べられたりで、認めてもらえなかった寂しさや癒されていないものが横たわっていたりで、「貴方も寂しかったんだよね…」と私が声をかけた途端にブチッと何かが弾ける様に涙を流す男性の姿などもあり、人間とは子供の頃に受けた心の傷さえも癒されるべき時を待つ正直な生き物である事を感じるばかりの時があります。

 

夫婦間と言えども暴力は、相手の内面に根差した何らかの恐れから生じるSOSととらえてまず間違いないものです。勿論、だからと言って配偶者の暴力に甘んじろと言う事ではありませんが。。

 

恋人間のDVのパターンなどもインターネット社会の今を反映している様な一面もあり、スマホのGPS機能や、LINEやフェイスブックなどまでを相手の居場所やプライベートを把握する為の手段として駆使している様な半ばストーカーと化した様なケースも多いものです。

 

でも、恋人なり愛する人のプライベートを管理コントロールし様と言う思いは、両刃の剣の様にその当人を切りつけ嫉妬と猜疑の地獄に縛り上げて行くものです。

 

「表で男と会っていやがったのかお前!GPSがラブホを差していたじゃねえか!誰といたんだよ、言えねえのかよ!」と位置通信を共有された上で、身に覚えの無い事を言われ暴力を振るわれる時、人間悲しいもので、叩かれたり殴られたりしている内に鈍化してしてしまい「これも彼なりの愛なんだ…」と自分を納得させ様とする女性もいたりするものです。

 

何かにつけて暴力をふるう男でも、たまにご褒美の様に「ごめん、悪かったよ…俺はお前がいないと駄目になっちゃうんだよ」と言ったりもする…それ自体、罪を座視しながらそれを行うに等しいもので、そんな言葉に明るい未来を託した途端に、また女性への嫉妬や猜疑心からの暴力が続き、男の方でもセーブの利かない「叩きグセ」に発展している場合も多く、こうなると縛りと過干渉の連鎖でハードな破綻に向けて一直線なものがあります。

 

また、ここに不倫の状況などが重なる場合など「俺と別れたいと言うなら、洗いざらいお前の亭主にこれまでの事を話してやるからな!」と、半ば恫喝の上に関係が成り立っている様なケースなどもあり(男性が被害者の場合も)こうした場合でも一方は浮気がとんでもない対価についたと思いつつも我慢している様な場合もあり、ここに暴力が重なっている場合など私から見て嵐は吹こうとも(配偶者に知れるなど)明らかにその関係を断つべきものに映る時があるものです。

 

その昔、私が極道の世界にいる頃など、水商売で働く女性などに寄生するかの様な男から、恒常的な暴力を受けていると言う女性の友人などから「別れさせ屋」的な頼みごとをされた時もあり、そんな時私はまずその当人の女性に「アンタよ、俺が相手の男に話して別れられたところで、また男の身体が恋しくなって帰っちゃったんじゃマンガだけどな?もう男に未練はないんだね?大丈夫なのか?」と念を押した上で、今度は相手の男に会う早々に「オイコラ!よくもウチの親戚の娘、顔の形が変わるほどヤキ入れてくれたのこのクソガキが!どうケジメつけてくれるんじゃ!オイッ!」と即席の親戚になりすまし(笑)カマシ(脅す)て行ったもので、相手も服役歴の一度や二度はある雰囲気の男でしたが、目は点になり青天の霹靂といった

 

風情で私に「えっ、ええっ…?!〇〇子にヤクザ屋さんの親戚がいる事など聞いた事なかったですけども…」と言い終わらぬ内に「やかましいわボケッ!親戚言うたら親戚なんじゃボケが!役所行って戸籍謄本でもあげてこい言うのかこのクソガキが!」と、脅し上げて別れさせた上で、女性の荷物も本人の安全を確保した上で、男の住む部屋から強制撤収したところで、お役ご免となったものでした。

 

今振り返れば極道のセッションとでも言うべきもので(笑)当時は生き馬の目ん玉を引っこ抜く様な裏社会で生きた当時の事でもあり、無理な理屈を押し通した事も度々あったものです。ヤクザを礼賛するつもりはありませんが、こんな必要悪としての役割も、当時はどこかしら世間から非公認ながら認められているものもあった様な気さえするものです。

 

自分の身近な人にアル中とおぼしき人間がいたり、自分が配偶者や恋人からのDVなどの暴力にさらされている時と言うのは、日々心労から消耗を感じるばかりで、なかなか出口を見つける事が出来ないものです。

 

またその様な渦中にある人と言うのは、読書など及びもつかないと答える人も多く、現状を打開する情報に触れる機会が少なかったりもします。

 

そんな時、菊池真理子さんの書いた「酔うと化け物になる父がつらい」は、そんな境涯にある人を慰め、菊池さんが辿った綺麗事抜きの心情過程が、必ずや自分ともオーバーラップし、今を生きる指針、決断へと促す働きがあるに違いありません。

 

劇画調タッチの漫画、可愛いキャラで登場する菊池さんや家族、周辺の方の姿ですが、内容はずんと腹に染み入るリアルなものがあります。

単純に読み物としても共感出来るものがあります。

 

配偶者や恋人、同居する家族のアルコール依存症、DVに悩む人などにも、ぜひ読んで頂きたい一冊です。

 

 

                         合掌

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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