映画「この世界の片隅に」を観て…

 
 
「この世界の片隅に」考えさせられるとてもいい映画でした。
誘われて映画館に観に行ったものの、長編アニメでもありどんなものかと思いましたが、戦時中の広島呉を舞台に、軍港だった呉への度重なる大空襲、広島市への原爆投下も絡めて、戦争がもたらす得体の知れない喪失感や狂気と言うもの…当時の庶民の生活にオーバーラップさせる形で描かれており、観ていて引き込まれるものがありました。
 
生まれた時代が違うと言えばそれまでですが…戦争末期の僅かな配給の白米を水を多くして膨らませ、道の脇に根を張る食べる事の出来る野草を選別して具材がわりにしたりする場面などもあり、当時を知るご高齢の方よりの実話や体験談もあっての事なのでしょうが、どんな理屈をつけ様とも、この時代の方が経験した塗炭の苦しみやひもじい思いに比べたら、基本的にホームレスでさえもやり手の人間は携帯を片手に持ち(アルミ缶等の非鉄金属を集め業者に売り利益を得る)食を得る事の出来る現代の日本人などは、全てに於いて恵まれ、物を粗末にし、尚且つ無駄も多く、飽食の限りを尽くしていると言われても仕方がないとしか思えません。
 
最近なども、NHKで戦時中、日本が広島、長崎への原爆投下の情報を掴んでいながら黙過していた事実などが放映された様ですが、戦争とは常にこの様な「不都合な真実」最後は何も知らぬ人々ばかりが犠牲になるとんでもない理不尽な「デキレース」さえ生み出すものです。
国の頭の部分を自任し、いざ有事となれば、核シェルターの中で自分の安全は確保した上で国の命運を憂えてるつもりの国家のお偉い様も、バラック住宅に済み、空襲で住む家もろとも焼かれて死んでしまう方も、同じ人間、同じ神の一人子、魂の上では何ら優劣など無いと言うのが真実であります。
 
アニメだからと馬鹿にするなかれ、普通の生活とは何なのか?平和とは何なのか?小さな劇場回りからロングランになっている映画だけあって、観ている者に問い掛けてくるものがあります。
 
ぜひ興味のある方はご覧になってください。
 
 
合掌
 
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