ついに見つけたあの人…
やってきた復讐の絶好の機会、でもその前に崇敬する聖人様に十字を切らねば…
この恨み晴らさでおくべきか…
私が手にする刃を一閃すれば、その身体の痛みにあの人も初めて物の道理がわかるだろう…。
するとどこからともなくその声は聞こえてきた…。
私の愛する神の子よ…その人をさっさと赦してあげなさい。
そうして初めてあなたが憎むあの人は物の道理がわかるだろう…。
そして何よりもそれがあなた自身に心の安堵をもたらす…
だって、憎む相手を『その役』から解放出来るし、憎しみに貼付けた自分を取り戻す事も出来るのだから…
人から否定されただの、寂しいだの、あなたが虚空に向かいつぶやいているのを私は今まで何度となく聞いてきたが、あなたが一人ぼっちな事は決してないよ…
断じてない。
あなたが人をどう見るかが今のあなたを決めている。
こんな事をされたから相手を憎まなきゃならない、こんな思いをしたのだから悲しまなければならない、と考える人の常識や世間の鋳型から発するまがいものの感情ではなく…
ハート、身体の感覚、そして静かながらも、時に疼く様に繰り返し訪れる感情に注意を払うといい…
いつもあなたの内なる神を通して私は語りかけています。
私の愛するおっちょこちょいさん…。
と、その声と共に『パチン!』と、まるで額にデコピンされた様な軽い痛みと共に目を覚ました美しき復讐者でしたとさ…。
人は憎しみから自分を解放したり、争っていた人と和解し様とする時、そこに内なる神の働きかけがある事にはなかなか気付かない生き物なのかも知れません。
by正仙劇場
合掌