戒名に思う事…ある方との電話から

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今日の午後、ある方から亡くなった方の戒名をお願いされ、筆不肖ながらしたためていた私でした。

この年の瀬に私と同じ47才で亡くなった女性…

この方を知る身寄りの方が、故人の苦労続きで、子供を育てる事に一心だったその生前の姿を私に電話で話して下さいました。

亡くなる前に『お願いだから、私の葬式などしないで欲しい…私を火葬場で焼いたら、主人や子供が手を合わせてくれたらそれで充分…』と周りに言い残していたそうです。

故人の遺言に従い、葬儀はしながったものの、戒名の入った位牌を作り、朝に夕に仏になった故人に手を合わせる場を設けたいと思うのは残された者にとっての人情でもあります。

葬儀は出来ずとも、せめて戒名だけでもと思い、あるお寺に相談すると…

『あ~っ、戒名だけね、一字増える事に20万円高くなりますが、それでも結構ですか?』とけんもほろろなその返事…

気持ちはあっても、葬儀を出してやる事も出来ぬ爪の先をともす様な生活をしている人間にとって、頼め様はずもありません。

私も真言僧のはしくれ、この話しを聞いて耳を疑ったものです。

そんな強欲な守銭奴の様な人間の書く戒名の何処に、仏の功徳が宿ると言うのか…?

信女、大姉、果ては院号まで、戒名料が違う事は、一般の方にもよく知られている事でもあります。

『戒名を付けなければ、仏が成仏する事は無い!』と、お寺より脅かされたと言う話しも今まで何度となく聞いてきた私でもありますが…

こんな事を言えば、お偉い先生方がひしめく仏教界、何を言われるかは知りませんが、亡くなった方が三途の川を渡り彼岸の彼方に行く時…

生前の俗名で呼ばれる事はあっても、戒名で呼ばれる事はないと私は思っています。

娑婆に残る人間が、故人の生前の徳や人柄を偲び、讃えるそこに、戒名の意味がある様な気がしてなりません。

この方のお話しを伺っている内に、亡くなられたこの女性の優しさや、身体を離れた今なお、子供に対する想いがこちらに伝わってくる様でもあり、聖観音の姿が脳裏に現じ…戒名には観自在菩薩より一文字頂き、お授けさせて頂いた私でした。

合掌

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