NHKの報道番組を見て…サリン事件の影で

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昨日一昨日とNHKでオウム真理教の地下鉄サリン事件に至るまでのプロセスや、当時の警察との攻防を検証する番組が報じられていました。

もうあれから17年経ったのかとも思います…

地下鉄サリン事件当日、私は午前中より都内に出ておりましたが、あの時の都内の騒然とした雰囲気、警察の厳戒体制には記憶に新しいものがあります。

死者13人膨大な怪我人を出した地下鉄サリン事件…それからしばらく経った頃、飲みに行った先などで『あせるあの時ちょうど丸の内線に乗り合わせていて…今だに右の指先の感覚が無くて…怖くて地下鉄に乗れませんあせる』と
電車((゚Д゚ll))

サリン事件の後遺症に悩む女性の話しを聞かされる時もあったものです。

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松本サリン事件以降、『わ~た~し~はやってない~け~っぱくだ~!(潔白)』と事件の関与を否定する麻原彰晃の肉声を流すオウムの街宣車を都内で見かけた人も多かったのではないでしょうか…?

当時、私は極道社会の人間でしたが、オウムが台頭し、マスコミ等で取り上げられる前より、何かの誌面で麻原彰晃の写真を見た時より、『こいつは必ず何かやらかすぞあせる』などと思ったものです。
(-.-;)

当時の私はスピリチュアルな心得はゼロでしたが(笑)極道の世界にいると自らは時に確信犯で法を破る身でありながらも、逸脱していく特異性のある人間や集団の顛末が朧げながらも分かってしまう時があるもので…

地獄の沙汰も何とやら…人の裏の裏まで垣間見る事の多い極道の世界には、その人間の弱さや欲望、本質を見抜く能力や眼力を持った人間も多かった様な気がします。

それは例えば、カルト教団ひとつとって見ても、その中核にあるのが『金儲けなのか?』それともキ印のついた洗脳された思想信条により『破壊的行動に向かうそれなのか?』教義とか、美辞麗句を使い演説をし様とも、フェイクされた奥にあるもの…

そうした事を嗅ぎわける能力にもそれは繋がっているのかも知れません…。

かと言って極道の世界に生きる人間にとって、そうした感性を人の心のお手当ての為に使う事は別次元の話しでもありますが…笑

この報道番組の中で、オウムの幹部村井秀夫が教団本部の前で刺殺される映像が流れていましたが、この時の実行犯も当時何度か顔を見た事のある人間でもありました。

当時この人間が籍を置いていた一家の親分と、私が盃を貰っていた親分は仲の良い兄弟分でもあり…事件直後、繰り返し村井事件がTVで報道されている時に…

自分の組の若い衆がした事ながら、青天のへきれきである事を告げる電話が先方の組長より当時の親分宛てに入り…電話を切るなり、私の顔を見て『あせる兄弟の若い衆がえらい事しでかしてくれたぞ…あせる』とその方は一言つぶやく様に言ったものです…。

この時の『えらい事しでかしてくれたぞ…』と言う言葉は、賞賛するそれではなく、言外に自分の仲の良い兄弟分に、若い衆のした事件で進退に関わる咎が及ぶ事がなければ良いが…と言う懸念がそこには感じられたのでした。

当時は裏社会でもオウムに関する風説や憶測が飛び交ったものです。

『オウムはシャブ(覚せい剤)を売り捌いてボロ儲けしてるらしいやないかい!』
((`Д´))

『金が動いてるからこそ村井を殺らせたんだろう…』と言った類のものまで…
(-。-)y-゚゚゚

その後で、この組の若頭が殺人教唆の罪で逮捕されるに及んでは(後に無罪判決)組織ぐるみで関与していたのでは?との見方を強める人間も多かったものです。

清濁合わせ呑む…極道社会で言うそれは、金に成るのか?利になるのか?見極めた上で、時に組の為、親分の為にご法度な事と承知の上で実行し、幹部が自ら泥をかぶる事もあるものですが…

何度か側にも付き、先方の組長の人柄に触れる機会もあった私にとって、この方の事件への関与は限りなくシロに思えたものです。

それから間もなく…

夜半にその電話はかかってきました。
電話

『兄弟…カタギになるって…兄弟がそこまで決断しなきゃならん事なのか…?あせる

と、扉一枚向こうから微かに聞こえる親分の声に…

それが知らぬ事とは言え、自分の組の若者が、オウムの村井を殺害し、世間を騒がせた責任を取り堅気になる旨を告げる兄弟分の組長からの電話である事は明らかでした。

暴力団新法などにより、ヤクザ世界全体に対する司法の締め付けが厳しくなってきた時期でもあり…

世論を背景にした司法の執拗な追撃をかわす深謀遠慮と言うものもそこにはあったのかも知れません…

その親分は中学も卒業しない頃より極道の社会に身を投じ、大組織の中興の祖と言われた大親分のボディガードを務め、若干25才にして最年少で大組織の直径組長になったその世界のエリートでもありました。

昭和50年代に発生した大阪戦争と呼ばれる抗争事件で長期刑に服役し出所してより僅か5年目のオウム村井事件…

まさかカルト教団の事件に連座して、極道の世界より身を引かなければならない事など、夢想だにしなかった事を察する時…当時の私の中にも深い感慨が湧き上がったものでした。

眼光鋭く、自分にも若い衆にも厳しいストイックな人情味のある昔気質の親分だった様な気がします。

ある時、この親分が酒席で私が当時親分と呼んでいた方に『兄弟…これからの時代、本物のヤクザはいなくなるのう…』とぽつねんとつぶやく様に語るのを聞いた事がありました。

それは…バブル以降、拍車をかける様に金や見栄で見せ合う様になった極道の世界、時代の推移と共に万事が管理型の組織体系に変貌していかざるを得ない没個性のヤクザの世界を儚んでいる様にも聞こえ…

そこには、昭和のまだ義理も人情もあった頃、当時から『暴力団』と言う言葉はあったなれど、堅気の世界とも人としての付き合いも出来たヤクザの良き時代を懐古の情で寂しく懐かしんでいる様にも聞こえたものです。

この当時私が親分と呼んでいた方も、情に溢れた方でありましたが、姐さんと呼ばれる女性の自殺に続き、この数年後には博打癖が祟り、借金に次ぐ借金を重ね、自ら引退せざるを得ないところに追い込まれて行ったのでした。

私も流転の最中…その後も裏社会で刹那的に生きる日々が続いたのです。

私が極道人生で最後の逮捕を迎え警察の留置場にいた時に、留置場の裏側の通路を歩くアーチャリー(麻原の三女)を見えない様にする為に閉められたカーテンの隙間から見た時がありましたが、麻原彰晃をミニチュア版にした様にソックリだった覚えがあります(笑)

時代の中で人の心の隙間の点と線を結ぶ様に現れたオウム真理教…

NHkの報道番組で紹介されていたオウムの幹部の入信時のまだあどけない純真さの残る写真などを見ると、麻原の意図するところは邪悪なエゴの権化なれど、入信した若者達の中には純粋な動機や気持ちで教団の門をくぐった人間も多かった様にも思え…

人生の経験値の無い大学出のエリートを洗脳し、組織の中枢に据えるオウム麻原のやり口は巧妙かつ狡猾でもあり…サリン事件で多大な犠牲を出し、多くの人を無機質の恐怖に落とし入れたその裏側で、若者の純粋性が利用されていた事は明白でもあります。

いつの時代も時代を変革する大きな原動力となるのは若者の純粋な躍動するエネルギーですが…

同時に利用され、無常の軌跡を描くのも若者の純粋さでもあります。

本来時間は存在せず、『すべては一瞬に起きている』と言う考えがスピリチュアルな世界にはありますが、人間が相対的に様々な経験を通して気付きを得て行く上で、時間と言うものは、人間だけにもたらされた概念なのかも知れません…

麻原彰晃はある人間よりその当初『宗教団体を作り、弱い人間を釣り上げてしまえ!』と言われたところに、オウム真理教の発足の動機を意図したに違いなく…その後のオウムの暴走から瓦解に至るまで、年を追って見せられた事ではありますが…

教団の主たる麻原の意図するものは強く、その邪悪な世界観が本当は一瞬にして顕現しているものを、私達は時間と言う年月や月日を通して見せられてきたのかも知れません…

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最後に上九一色村のサティアンの屋根裏部屋で、一千万近くの現金を持ち隠れているところをコソ泥の如く逮捕されたその無様な姿こそ教祖麻原のメッキの剥がれた姿だったに違いないのです。

教えを請う相手を『先生』と呼び『師匠』と呼ぶ事に慣れてしまい、自分を卑下して考えてしまいがちなところのある私達日本人…

そんなところにも小さな『オウムの芽』がある事に気付く事も大切なのかも知れません。

その関係性に縛りを受けずに風通しの良いものがあるのか?

アットホームな雰囲気の中にも、ある一定の方向に向けられコントロールされているものがないのか?

そうした事を点検して見る事…それはカルト教団や新興宗教にばかりに発生する事ではなく、人の集まるところに発生しやすいエネルギーのパターンでもあります。

いつでも自分自身の主人で在りたいものです。

NHKの報道番組を見て思うままに書いてみました。

合掌

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